事例紹介

【ケーススタディ】M&A後に発覚した「約8,000万円の返還リスク」をどう封じ込めたか

【ケーススタディ】
通常のDDでは見抜けない『潜在的負債』を特定。投資価値を守り抜くオペレーショナルDDの実践例

現場に潜む約8,000万円の返還リスクを特定し、投資価値を守り抜いた90日間の舞台裏
  • 介護福祉施設
  • 収益向上・経営改善
  • 301人~500人
  • 501人~1000人
  • 1001人~

現場に潜む「見えない負債」を特定し、投資価値を守り抜いた90日間の舞台裏
1. 【課題】投資実行後につのる「現場が見えない」という焦燥感

大手介護法人A社への投資を実行したばかりのファンド担当者B氏は、デスクに並ぶ報告書を前に、ある拭いきれない不安を抱えていました。事前の財務・法務調査(DD:デューデリジェンス)では「問題なし」とされていても、実際の介護現場の細かな運用状況までは把握しきれなかったからです。

ファンド担当者B氏

「もし行政監査が入って、後から巨額の報酬返還を命じられたら、投資シナリオが根底から崩れてしまう……」

介護業界では、現場の書類に不備があると「不正請求」とみなされ、数年分の利益を一括で返還しなければならないリスクがあります。B氏が恐れていたのは、「通常の財務・法務調査(DD:デューデリジェンス)では見抜けない、現場に眠る潜在的リスク」でした。

  • ブラックボックス化した現場: 広域に分散した多数の拠点を抱えているため、それぞれの現場で正しく法令が守られているか、数値報告だけでは判断できない
  • キャッシュ・フローへの脅威: 万が一、報酬返還が命じられた場合、数ヶ月分の利益が即座に毀損し、企業価値に支障をきたす可能性がある
  • 行政処分の恐怖: 深刻な不備があれば、事業停止や指定取消といった、事業継続そのものに関わる致命的な事態に発展しかねない
※出典を元に弊社にてグラフを作成

出典:厚生労働省 令和6年度 全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料 総務課介護保険指導室 運営指導の状況【図1、(1)第1表】
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001436709.pdf

2. 【解決】「ファンドの目」となり、分散する全拠点を短期集中で総点検

B氏は、現場の実態を正確に把握し、リスクを「金額」で可視化するために、外部の専門家による徹底調査を決断しました。

私たちはB氏に代わって広域に分散した多数の拠点に直接足を運び、膨大な個人ファイルや業務記録を、長年介護業界に携わることで培ってきた重点項目チェックリストにもとづいて確認。現場で「当たり前」になっていた危うい慣習を次々と浮き彫りにしていきました。

チェックリストをもとに判明した利益を圧迫する要因の例:

  • 「後出し」の書類作成: サービス開始後に計画書を作成し、同意を得るなど、報酬を受け取るためのルールが守られていない
  • サインの漏れ: 訪問看護の計画書に利用者の同意署名がなく、証拠がないままサービスを提供している
  • ガバナンスの欠如: 虐待防止などの各種委員会が開かれておらず、組織的な統制が機能していない
※実際には、人員基準や請求管理など100以上の項目を5段階評価し、リスクを徹底的に洗い出します。

私たちは単なる「指摘」で終わらせず、B氏へ「リスクがどのくらいの金額か」を報告すると同時に、現場スタッフと共に約半年かけて全ての書類の適正化を進める実務支援を行いました。

3. 【成果】リスクの可視化と、企業価値へのダイレクトな貢献

このプロジェクトを通じて、B氏が抱えていた「見えない不安」は、具体的な対策と安心感に変わりました。

■ 支援前後での変化:リスクの「見える化」と「封じ込め」

比較項目支援前(Before):不透明なリスク支援後(After):健全な経営への転換
実態把握「ブラックボックス状態」
どこにどれだけの課題があるか把握できない
「100%可視化」
全事業拠点を一斉往査し、潜在リスクを「金額(約8000万円)」で特定
財務リスク「潜在的な簿外債務」
行政監査により利益(EBITDA)が消失する可能性
「財務毀損の事前封じ込め」
不備を即座に是正し、将来の資金流出を未然に防止
事業継続性「指定取消リスクの放置」
致命的な不備がある拠点が放置されていた
「運営の適正化を完了」
実務支援により、行政処分を受ける可能性を排除
出口戦略「売却時の減額要因」
コンプライアンス不備が価格交渉の弱点になる
「クリーンな資産価値」
内部統制を確立し、自信を持って高値での売却を目指せる

B氏からは、「現場の細部まで可視化され、リスクが数値化されたことで、ようやく確信を持ってバリューアップ施策に集中できるようになりました」と、深い信頼を寄せていただくことができました。

4. 実施プロセス:6ヶ月間の伴走スケジュール

投資実行後の「止血」から、次期買い手(イグジット)を見据えた「ガバナンス確立」までの軌跡です。

期間フェーズ具体的アクション担当者(B氏)の視点
1ヶ月目全社一斉調査対象となる全事業所を直接訪問し、実地チェックを実施「現場のリアルなリスク」の報告を待つ時期
2ヶ月目リスクの定量化約8000万円の報酬返還リスクを特定。優先順位を策定数値を見て対策の緊急性を確信。具体的な「止血」へ
3〜4ヶ月目集中是正支援コンサルタントが現場に入り、書類の再作成等を共同実施負債が着実に消えていく経過を確認
5ヶ月目仕組みの構築適正なプロセスを標準化し、組織統制を整備将来の資産価値(イグジット価格)を確信
6ヶ月目最終評価5段階評価で再発防止策の定着を確認「クリーンな優良案件」として自信を持って運用へ

※是正完了後も、定期的なモニタリングによる品質維持が可能です

5. まとめ:ファンドに対する3つの提供価値

本ケーススタディは、当社のコンプライアンスチェックが単なる「監査」ではなく、M&A後のバリューアップを担う「オペレーショナルDD」として機能したことを示しています。

  1. リスクの早期特定と資金流出防止: 通常のDDでは見抜けない潜在的な返還リスクを金額で特定し、財務基盤を保証します
  2. イグジット戦略の保証: 法令遵守体制の確立により、次期買い手に対する企業価値を高め、売却時の減額リスクを排除します
  3. 実行支援による確実な是正: リスク特定にとどまらず、書類作成の共同実施まで踏み込み、最短期間でのリスク排除を保証します

M&A後のPMI支援から、定期的なコンプライアンス監査まで
介護業界特有の複雑な基準を熟知した専門チームが、貴社の投資価値を強固に守ります

投資実行後の現場把握や行政処分リスクへの対策について
守秘義務を厳守し柔軟に対応いたします

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